食べる量が減った。

夏バテにしては早いし、金がそんなにないわけでもないのだが、コンビニやスーパーに行ったときに「これ食べたい!」と胃袋が僕に投げかけてくることが極端に少なくなった。かといって空腹にはなるのでとりあえずと適当に買うとなんとなく食べられる。

食欲は名前に欲と付いているだけあって食べたいという気持ちがあるもんだと思うのだが、食べたいという気持ちなく生きるためにとりあえず食べるというのは少しさもしい気持ちが出てきてしまった。

 

昔はとにかく嫌いなものが多かった。野菜は全般嫌いで、魚も生魚は食べないし、焼いたものや煮たものも食べはするが好きじゃなかった。でもそんな中で魚が急激に好きになったときがあったのだが、その時のやり方をすればまた食に対する興味が高まるんじゃないかと思った。

 

当時魚が好きになった経緯を話すと、小学生の低学年くらいのころに父親がおもむろに僕を車に乗せ、海釣り公園というところに連れて行ったことによる。その日は人でごった返すほどの釣り人がおり、その人達が傍らに置いている魚を生かしておくためのバケツはほとんど空っぽだったのを覚えている。

 

僕らも例にもれず全く釣れずに朝の10時に到着してから夕方の6時くらいまで粘ってやっと15センチにも満たない小アジが2匹釣れただけだった。それから家に帰るころには夜の8時になろうかという時間で僕にとっては少し眠たいくらいの時間だったのだが、せっかくなのでと小さなアジを一匹はから揚げにして、もう一匹は刺身にして食べた。その時のおいしさが僕には衝撃的で驚くほどおいしかったのだ。

 

この時の気持ちを何とかして再現できないかと思ったのが先週の金曜日だ。明日は運よく休みになっている。アジじゃなくてもなんでもいいから魚を釣ってその魚をさばいて食べたいと思う。そんなことを考えていたらすごく充実した生活のような気がしてきた。明日の僕が自分で釣った魚を食べられようが食べられまいがどちらでもいいのかもしれない。昔部活かなんかでよく言われた「やってみることに意味がある」本来こういうところで使うことなのかもしれない。