踏み込みの深さ
大学生のころなぜかよく知り合ってすぐくらいの友達に猫派か犬派か聞かれることがあった。
周りの多くは猫派でたまに犬派がいるような割合で、猫派と答えた人は大概どこが可愛い、どんな猫が好きかなどについて盛り上がっていたが、犬派と答えた人は「へー!そうなんだ!」から全然話が膨らまないというパターンをよく見てきた。
また、猫好きという人たちが集まった結果、猫という名の美少女キャラを操作するスマホゲームをひたすら遊ぶゲームサークルが出来上がったこともあった。そこまでくると猫をわざわざ絡めるのが少し面白かったりしてしまう。
なんにせよ、話のとっかかりにするには便利な言葉なんだろうなと思う。
その人と話をする場合には猫の話をすれば、その人も「前に猫好きって話したから興味を持ってくれたんだ」と唐突な話かけにも理由つけできるので、そこから本当に話したいことを話せばいいというような声をかける上での取っ手になる。
僕の場合は大概どっちも嫌いじゃないとか言って中途半端な取っ手をつけられていたのであまり扉を開いてもらう機会がなかったのだけれど。
ただ、ここでレアケースとして犬派?猫派?の質問をかけた時にその人が本当に犬か猫のどっちかが好きで語ろうとしてしまった場合はどうなるのか?
A「僕は猫派かな?」
B「ほんとに!僕も猫派なんだ!好きな猫とかいるの?」
A「僕はスコティッシュフォールドが好きで、特にハイランドフォールドが好きなんだよね。短毛種もメジャーで人気あるけど、やっぱりスージーからずっと受け継がれてるものだし特別というかさ。君はどういうのが好き?」
B「.....」
多分このあとA君はB君とそれほど仲良くならない。
僕もたまにあるのだけど日常会話や会話のとっかかりのつもりの話が本当に興味があって広げすぎてしまうというのは結構な確率で引かれる。
ただ、これもレアケースでさっきの例でB君も負けじとついてくることがある。
この場合はすごく気の合う友達になれることが多い。
さっきも書いたように僕は基本的にどっちもそれなりに好きというような答えをしていたけど、好きな音楽や映画の話とかを聞かれた時とかは広げて話してしまっていたので、それに付き合ってくれる人は大学を卒業してからもたまにあったり近況を報告しあったりする仲になった人が多い。
社会に出ると日常会話の回数が極端に増える。それも当たり障りのないものを極力選んで。仕事の上ではいいのかもしれないけど、こういう思い切った踏み込み方をすることが減ってきたと同時に親密と言えるような仲間を作るのが難しくなった。
今度試しに、会って3回目くらいの人に「最近暑いですね。」を「夏フェスの季節ですね」にすり替えて一歩大きく踏み込んでみようか。